2.飽和水蒸気量(1)

うだるような夏の盛り。冷たい飲み物が心地よい。冷蔵庫から、よく冷えた缶ジュースを取り出す。そのまま置いておくと・・・。

缶の周囲には、小さな水の粒がたくさん付きます。暑いときによく起こる現象ですね。

私は、幼い頃、「缶ジュースさんも、暑いから汗をかいているに違いない」と信じていました(アホ)。一生懸命、ティッシュで缶の汗を拭いてあげました(おバカ)。しかし、拭いても拭いても、汗は止まりません(当たり前だろ!!)。缶から汗が出なくなった頃には、ジュースは生ぬるくなっていました。なんだか悲しくなりました・・・。


ところで、この水滴、どっから来たと思う? 空気中から来たんだよ。空気の中には、水が気体になって含まれているんだ。水の気体を水蒸気という。ときどき、湯気(ムカツクと頭から出るヤツ?)を水蒸気だと思ってる人がいるけど、そうじゃない。水蒸気って、目に見えない。湯気のように、目に見えた段階で、ヂツは細かい水の粒(水滴)なんだ。

空気は、水分(水蒸気)を含むことができる。
乾いた空気は、含まれている水蒸気の量が少ない。だから、洗濯物がよく乾く。
湿った空気は、水蒸気をタップリ含んでいる。だから、ジメジメ感がある。

そして、気温が高いときのほうが、より多くの水蒸気を含むことができるんだ。それが下のグラフと表。

飽和1    飽和2


横軸が気温。縦軸が飽和水蒸気量だ。なんだ、それって?
「飽和」って「目いっぱい」ってこと。空気がいくら頑張ったって、無限に水蒸気を含めるわけじゃない。そこで、1立方mの空気が含むことのできるメイッパイの水蒸気の量を飽和水蒸気量っていうんだ。

空気の温度が11℃だと、飽和水蒸気量は10.0g。1立方mに、咳止めシロップ1回分の量の水が、水蒸気になって含まれるわけだ(もっとマシな例はないのか?)。


右の図表について、もう一度確認しておく。

・飽和水蒸気量は、気温が高いほど多い。こういうヤツをイメージして欲しい。気温が高いほど、たくさんメシが食える、逆に、気温が低いと小食になるという変なヤツを・・・。


ここで、定番の問題。

30℃の空気1立方mが、17.3gの水蒸気を含んでるんだってサ。こいつについて考えてみよう。

1.この空気は、あと何g水蒸気含むことができるか?

2.この空気の温度を、30℃からだんだん下げていく。何℃まで温度を下げると、飽和水蒸気量と同じになるか?

3.この空気の温度を15℃まで下げると、含みきれなくなった水蒸気が水滴になってしまう。何gの水蒸気が水滴になるか?

視覚的に理解できるよう、このページをプリントアウトして、上のグラフの30℃のところに、17.3gの高さの棒グラフみたいなものを書き加えよう(他に飽和水蒸気量のグラフがあれば、それを用いてもよい)。

1.グラフ(表)から、30℃の飽和水蒸気量は、30.4g。今含んでいる水蒸気量が17.3gだから、
   30.4-17.3=13.1(g) の水蒸気を含むことができる。


2.17.3gの水蒸気を含んだ状態で、30℃なら、飽和水蒸気量には達していない(まだ腹いっぱいじゃない)から、まだ水蒸気を含む余裕がある(もっとめし食いて~)。

ところが、温度をだんだん下げていくと、飽和水蒸気量も少なくなってくるので、余裕がなくなってくる。そして、17.3gが飽和水蒸気量である 20℃ まで温度を下げると、もうこれ以上水蒸気を含めない(もう食えね~)。これ以上水蒸気が入ってきても、水滴になるのが関の山。

したがって、17.3gの水蒸気を含んだ空気にとって、20℃というのは、水滴ができ始める温度である。これを、その空気の露点という。
露点を求めなさいって言われたら、いま含んでいる水蒸気量が、飽和水蒸気量と同じになる温度をさがせばよい。

ちなみに、このときの湿度は100%である(湿度については続きを作っときます)。


3.15℃の飽和水蒸気量は、12.8g。いま17.3gもの水蒸気を含んでいるのに、この温度では12.8gしか含めない。ピンチ!! 

含みきれない水蒸気はどうなるか? そう、水滴にでもなるしかない(腹いっぱい食わせたヤツにもっとメシを詰め込んだらどうなる? 「ゲ○」を吐くしかないだろう。そう、水滴は、空気が吐いた「○ロ」に他ならないのだ)。

   17.3-12.8=4.5(g) の水滴ができる。


  
どう、少しは理解できたかな? よくわからなかった人は、もう一度読み直してね(なんせ、急いでつくったもんだから、熟成が足りない・・・と言い訳)。

じゃあ、練習問題ね。

[練習1] 25℃の空気1立方mが14.5gの水蒸気を含んでいる。これについて、上のグラフと表を用いて、次の問いに答えなさい。(下の答えは何かで隠してやってみて)

 (1)この空気は、あと何gの水蒸気を含むことができるか。

 (2)この空気の露点を求めなさい。

 (3)この空気の温度を12℃まで下げると、何gの水滴ができるか。


答え
(1)23.0-14.5=8.5g  (2)17℃   (3)14.5-10.7=3.8g

Special Thanks to Akebe.


© Rakuten Group, Inc.